(19)選手起用、モチベーション

☆プレータイムの与え方

チームの大会での目標が決まったら、この話が具体的に決めやすい。

大会の目標が高ければ、実力主義にならざるを得ないし、楽しさを優先するなら一所懸命さを優先したり、経験年数などでプレータイムをシェアするのが理想と思う。

もしくは、個々の上達を目標とするのであれば、将来性などを優先させる場合も出てくるだろう。

いずれにしても、チームの目標に対して、どういう選手を試合で起用するかという話を子供にも保護者にも周知しておくことで、個々の目標も作りやすくなると思う。


☆背番号はただの識別記号

正直言うと、背番号のことなんかで揉めるとか、子供がミニバスに入るまで考えたことなかった。

俺の子供が初めてこのチームに入った時は、指導者が決めていたと思うのだが、その決め方の基準は、ハッキリと聞いたことがない。

まぁ、想像するに、その指導者の方が思う、バスケの上手い順だったと感じた。

ホントに俺はそういうことをまったく気にしていなかったので、「ふうん、そうなんや」くらいにしか考えていなかった。

しかし、それが、後に大事に発展していった。

当時の場合は、特に女子が問題だった。

子供たちや他の保護者たちも俺と同じように背番号は決まっていると認識していた。

そこまでは何も不自然なことはないと思う。

そういうチームもたくさんあるやろうし。

ただ、一部の子供が自分の背番号に不満を持ったのが始まりだったと聞いている。

「なんで私より下手なあの子が私より背番号が小さいの!」という不満を。

大人である指導者からみた上手さと子供の視線から見る上手さというのに、違いはあると思う。

決め方にしたって、正式にその基準を公表されていたわけでもないので、プレーの上手さだけでなく、素行や出席率なども加味されていてもおかしくないと思うんやけど、その子は、実際に自分より下手な子に、負けているのは許せない!と公言しはじめた。

そして、その子の親もまったく同意見だったようで、チームに猛然と抗議をしはじめた。

自分の子が他人を非難することに、親が同意してどうすんねん!そんな子を叱り、もっと上手くなればいいことと諭すのが親の役目じゃないの?と俺は、思うけどね。

正直なところ、当時は、単なるバスケ経験のある1保護者というスタンスで、試合に自分の子が出るかどうかを楽しみに観戦していた俺から見ると、その2人のバスケの上手さは、どっこいどっこい。

しいて言えば、不満を持っている子の方が下手(違いは、スクリーンアウトの意識くらいで、あとはハッキリ言ってどっちが上手いとかいうようなレベルではなく、どちらも初心者の域を出ていない)。

実は、その不満を持っている子は身長が低く、持たれている子は背が高いが入部が遅かった。

ここがたぶんポイントだったんだと思う。

「自分より後に入ってきた子が自分より上手いはずがない。背が高いだけで上手いと思われているのは不公平!」

これは俺の勝手な憶測に過ぎないが、それほど間違っていないと思う。

で、結局その子の不満は解消されず、チーム内での解決を見出せないまま、シコリを残して辞めていった。

なんやろね、この展開。

背番号なんて、ただの識別記号でしょ?

そこに必要以上の意味はない。

あるとすれば、「憧れの先輩が付けていた番号を自分も付けたい」とか、「自分のラッキーナンバーを付けたい」とか、そういう愛着や想い入れみたいなものであれば、少しわかる。

チームによっては、○番はエースナンバーみたいな慣習もあるかもしれない。

なぜに、バスケの上手さの基準に背番号を使うのか?

意味不明。

昔のスポコン漫画の影響かね?

バスケに関わらず、チームスポーツは、チームが勝つか負けるかでしょ?

チーム内の競争で言えば、まずはベンチに入れるか入れないか。

そして、試合に出れるか出れないかじゃないの?

で、試合に出て活躍できたか出来ないかでしょ?

俺は1つのチームしか詳しくは内情を知らないので、同じような決め方をしているチームでは、こういったトラブルはないのかもしれないが、うちのチームは違った。

背番号が小さい子が、自分より大きい子を見下す。

そんな子がいっぱいいた。

子供たちの中で、背番号によるマウンティング(格付け)が横行していた。

背番号が小さかったら試合でミスしなくて、大きかったら試合に出ても活躍できないの?

そんなのその日の相手や調子でいくらでも変わるでしょ?

そんな曖昧な基準で決めた背番号(順位)に拘るのなら、何も言わずにチームスポーツなんて辞めれば良い。

個人で戦って、どっちが強いか競える競技はいっぱいあるんやから、そっちに行ってガンバレば?

特にミニバスは1試合で第3ピリオドまでに最低10人が1ピリオド以上出場し、且つ2ピリオドを超えて出場してはいけないルールがある(平成27年度現在)。

ということは最低でも10人の総合力を競う競技な訳。

バスケを始めたばかりの初心者が、上手いの下手だのと、同じチームの中で僅かな差を比べてんじゃねーっつうの!

人の失敗見つけて安心・慢心する前に自分の技術をもっと磨けって話やろ!

チームの負担にならないように、自分がチームの勝利に貢献できるように努力しろよ。

そして上手く出来ないチームメイトがいるなら、全員でフォローしろよ!って話。

100歩譲って、人から見た順位を付けられて、自分より下手だと思ってたやつより下だったとしたら、その順位を付けたヤツを見返してやる練習をしろっての。

回りに不満をぶちまけりゃ、バスケが上手くなんのかい!馬鹿馬鹿しい。


その後も何年も大小さまざまな背番号に纏わる揉め事が絶えなかった。

ぶっちゃけ、俺が指導していた3年間にもこういう揉め事は起きた。

それは、俺が決めた基準に対する不満だった。

俺は、キャプテンを4番、副キャプテンを5番として、その他は、高学年から入部暦の長い順に機械的に番号を割り振った。

このやり方に、また一部の子供、保護者、そして、最初は賛同していた指導者まで最後には反対し始めた。

もう訳わからん。

その人たちが言うには、背番号が1つでも若い番号になると、子供たちのやる気が変わるんだそう。

アホちゃうか?って俺は思うんよね。

そんなのあったとしても一時的なもんでしょ?

番号が若い方が上手いと刷り込まれている結果であって、初めて番号を貰う喜びと同じもの。

その番号でも試合に出れなけりゃ、前の番号でも一緒やん。

だって、その他の子と、ほとんどレベルが同じなら、まともな指導者なら、両方にプレータイムを与えるんやから。

その日その日によって、昨日まで出来たことが出来なくなったり、昨日まで出来なかったことが突然出来るようになったりするのが、この年代の子供なんやから、成長した証にもならない。

個人個人の順位決めなんて、単なる決定者の一人よがりに過ぎないって話なんよ、俺からしてみれば。

なんで、そんな曖昧な基準のものを絶対的なもののように扱うのかが、ホンマにわからん。ま、こういうのも関係者同士のコミュニケーション不足が一番大きい問題やと思うけどね。。。


ということで、長くなったけど、背番号には必要以上の意味を大人が子供に持たせるなってこと。

もし、今度自分がそういう背番号の決定権をもったり、意見を言える立場になったりしたら、選手に好きな番号をつけさせたい。

ただし、数が限られているものなので、それ以上の人数がいる場合は、選べる権利をもつ(ベンチ入りできる)子供は、指導者が決めさせてもらう。

そして、第1希望で単独ならそれで決定。

複数になったら1on1やジャンケンでもして、負けたら第1希望で選ばれなかった残りの番号の中で第2希望を出し合い、以下同様に繰り返す。

もし、ある程度の期間が過ぎて(2~3ヶ月か公式戦前など)、自分の第1希望の番号を取り戻したい、もしくは違う番号が欲しいというときは、その時点でその番号を付けている子が譲れないなら、その番号を掛けて、1on1で勝負させてもいい。

そのほうが、1on1主体のチームとしての目標としても良いかもしれない。

そして、これは、単純明快な基準。

誰かがなんとなく決めた基準ではない。

自分のその時の実力で決まる。

体調が悪い、シュートがリングに嫌われる、ファールを取ってもらえない。

そのどれも言い訳として使わないことが条件やけどね。

ただし、勝負としては真剣勝負しても、あくまでチームのリクリエーションの一環としてやけどね。

ただ、個人的な好みでいえば、大きい番号の子が試合で活躍する。

そういう方が好きなんよね。

ってことは、俺もやっぱり、背番号実力主義がしっかり刷り込まれてるってことやね(笑)


☆成長ってどうすればできるのか

俺は成長って、諦めたら止まると思ってる。

なので、諦めない気持ちがあれば、その幅は小さいかもしれないが、その先には必ず成果が現れると考えてる。

けど、子供たちは諦めるのが早い。

少し疲れたら、失敗が何度か続いたら。

それで、もう諦めてしまい、集中力をなくす。

後日に、再チャレンジするならまだ大丈夫。

でも、チャレンジしない子も多い。

そんな時、指導者はどうするのか。

怒鳴り散らして、強制的にやらせ続けるのか?

その結果、出来るようになったら、もしかしたら成長と呼べるかもしれない。

けど、結局出来ないままだったら?

子供には、自分には出来ないんだ…というイメージしか残らないと思う。

それでは、彼らの精神は成長しない。

本当の成長って、自発的にしたことのほうが、精神的に大きく変われるチャンスやと思う。

JBAのD級コーチライセンス講習では、「心のスタミナが切れたら止めて良い。スタミナが戻ったら、もう一度チャレンジ!」的なことを教わった。

これも良いと思う。

けど、それでは心のスタミナが増強できないと思う。

筋力でも持久力でも、現状より少し高い負荷を与えることで、より強化されるものだと思うし、それは精神力でも同じことだと俺は思ってる。

だから、俺は「もうダメだ…と思ってから、もう少しだけ頑張ってみろ」と教えてた。

この3年間では、それほど、負荷をかける練習メニューを俺が作るときはしなかったが、試合では、点差が開いた時、ミスが続いた時、相手に流れがいってしまったときに、子供たちの心のスタミナは、あっという間に切れていた。

これからの長い人生にも役立つ精神力。

小学生からでも、少しずつ成長させてあげたい。


☆心技体の話

武道などでよく使われる言葉だが、バスケでも他のスポーツでも、共通する言葉と思う。

心は、精神力。

技は、技術力

体は、持久力・筋力

全てが相互に影響を与えている。

けど、心が一番先にくる、この並び方には、俺には意味があると思う。

普段、なんのプレッシャーのない状況であれば出来る技術も、極度の緊張や焦りがあると、出来るはずの技術も出来なくなる。

テンションが高い時は、気にならなくても、低くなった瞬間に、どっと疲労が押し寄せてきて足を止めてしまう。

なので、心技体の中で本番(試合)に一番肝心なのは、“心”だと思う。

心が強ければ、試合中に上達することも多々ある。

なので、試合前には、しっかりと子供たちの心の状態を強く支えてあげる配慮が大切やと思う。

相手に気押されていては最初から勝負にならない。

相手も同じ年代であること。

ミスをしない選手はいないこと。

自分が出来ること、頑張ってきたこと、してきたことに自信を持たせて、何をするかを明確にしてあげて、コートに送り出してあげたい。


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