(13)セットオフェンスの基本(対マンツー)

ここまでの練習で、1on1でのオフェンス、ディフェンスの基本をある程度理解、実践できていることを前提とする。特にオフェンスは、ボールを見ないで攻めることが出来ていなければ難しい。

ここからは、その技術を活用するべく、個人でのオフェンス(1on1)をしつつ、チームへのオフェンスへと繋げて行く。

前項のプレスされたときのボール運びにも共通するところもある(これを子供たちが自主的に応用してくれれば話が早くなる)が、ここでは原則としてフロントコートに限定し、なるべくイージーバスケットに近い状況を作り出すことが目的。

なので、まずは、アウトナンバーの状況から入り、スペーシングの理解も深めることが出来れば尚良し。

練習として実際より少ない人数で行う場合でも、常に5on5を想定したメニューであることを子供たちにイメージさせることが重要。

これが出来ないと、実際のゲームで使えない無駄な練習になりがちである。

そこで、以下のような段階を踏むと子供たちも、練習の流れからゲームにスムーズに繋げて考えることが出来ると思う。

まずは、逆サイドにフリーの味方を意図的につくり、そこにパスを入れれば、ゴールに簡単に近づけることを印象付ける。

これは、セットオフェンスの練習であり、速攻の練習ではないので、ディフェンスはボールマンやマークマンに対して、しっかりマッチアップしている状態。

アウトナンバーの練習で共通することは、フリーのオフェンスもボールマンの動きに合わせて、走りこむタイミングを見極めることが重要ということ。

もちろん、ゴール下に飛び込むときは、キャッチボイスとターゲットハンドを意識させる。

ボールマンが1on1で抜けそうなのに、その前にゴールに飛び込んでしまうとせっかくのスペースを潰してしまう。

その場合は、セーフティや、少し遅れてリバウンドに入る体勢を作らせる。

当然、スタートするサイドは両方出来るようになるのが理想だが、利き手のドリブルだけしか自信がない子が多いのであれば、サイドを限定しても問題ない。

要は、ディフェンスに攻め方を読まれても、シュートに持っていくことが出来る攻め方を作れば良いだけの話なのだから。


① 1on1+1(逆サイド)

ウイングから始める。

ボールマンは、1on1のオフェンスの延長線上であるので、ディフェンスを抜こうとしつつ、逆サイドの味方の走りこみに合わせてパスをする。

逆サイドのオフボールマンは、ウイングまたは、コーナーから始める。

子供の視野は狭いので、初めはコーナーからのほうが見やすいかもしれない。


② 2on2

①の練習をより実戦的に行うため、オフボールにもディフェンスを付ける。逆サイドのオフェンスがフリーの状態を作り出せるかが鍵。

基本的には、ボールと自分の間(直線上)にディフェンスを入れるようにゆっくりで良いのでフェイントも混ぜて移動していくと、ディフェンスの意識を自分の方に向けさせることができる。

完全に視線が切れた(ディフェンスの意識がボールに向いた)ときに、スピードを上げて一気に中に入る。このタイミングをボールマンの動きに合わせるか、ボールマンが気付ければ、フリーの状況を作りやすい。


③ 1on1+1(同サイド)

①より狭いスペースで攻めることに慣れる。

ボールマンはウイング。オフボールはトップまたはコーナーから始める。バックドアやパスアンドランで、2人で協力して攻めることを体験させる。

ボールを運んできた直後という状況を与えるなら、初めはトップから行ったほうがいいかもしれない。

出来るかぎり、スクリーンプレー(ピックアンドロール)も指導したいが、これは説明や特化した練習メニューにそれなりの時間が必要。


④ 2on2(2メンゲーム)

③の練習をより実戦的に行う。

ディフェンスのファイトオーバー、スイッチの練習にもなる。


⑤ 2on2+1(逆サイド)

③に①の要素をプラスする。


⑥ 3on3

⑤の練習をより実戦的に行う。


⑦ 3on3+1(逆サイド)


⑧ 4on4(セーフティ、リセット、転回)


⑨ フォーメーションプレー


初めに、最小人数で行うことで味方のコミュニケーションが取りやすくする。

次に、同サイドの人数を増やしていき、お互いのスペースを潰しあわず、パスアンドランやスクリーンの裏の使い方を覚える。

正直なところ、ミニバスでは1on1と2メンゲームがある程度出来れば、かなりの得点チャンスを作り出すことが可能と考えている。

なので、④まで出来れば、充分なのかもしれない。

もし、相性の良いデュオが見つかれば、各ピリオドのユニット作りに大いに参考となる。


⑤以降に関しては、ゲームでのコート内の人数(狭さ)を体験することが主な目的としても差し支えない。

人数が増えた状態でも、やることは同じであることを経験させる。

つまり、人数はコートに10人いるが、実際にするのは、④のプレーということ。その他の3人は、2人が動いた後のスペースに入ったり、セーフティポジションを意識させたりして、広いスペース、狭いスペースを視認しあえる関係が望ましい。


1on1や2メンゲームを主体に攻める段階では、その逆サイドがどの様に動けば、味方のオフェンスのジャマにならないか、ミスした場合にフォローしやすいか、相手のカウンターに対して、どういう準備が必要なのかを教えておくほうがより実戦的だと考える。

また、2on2でゴール近くまでボールを持ち込んだ時、ディフェンスの人数が多くなり、自分のシュートが打てない場面では、残った3人へのキックアウトの選択をプラスする。

このキックアウトを受けたレシーバーは、迷わずミドルシュートを打って構わない。

逆にシュートを打つ準備をしておくことが重要。

もし、外れても、ゴール下には既にリバウンドに誰かしらがいる状態になっている。


それでも実際に他チームとのゲームで上手く攻められない経験をした場合は、こういうやり方もあるよと、参考程度に多人数で動くフォーメーションなどの練習を行うのが妥当と思う。

結局のところ、1on1で明らかに有利なマッチアップがあれば、そこを中心に攻めれば良いし、なければ複数で協力して攻めようということ。


もう一つ、④以降の練習をフリーで行うと、ボールマンとその他プレイヤーとの意思疎通が上手くとれず、ぎこちない攻め方になるはず。

これを解消するには、ボールマンにどの攻め方をしようとしているかコールさせることが有効。「バックドア」とか、「ピック」とか直接的な表現でも良い。子供たちにこれを勧めると、相手にバレることを嫌がって違う表現を使おうとする。

それも間違いではないが、そもそもこういった用語を知らないチームというのもミニバスではよくあるし、バレたとしてもそのプレーに複数のバリエーションがあれば有効なので、あまり気にすることもないのだが(笑)

また、このコール自体をブラフで使えるということも教えても良いかもしれない。

例えば、「ピック」のコールと同時に指でサインする。

1ならその通り、2なら「バックドア」とかね。

ちょっとミニバスで使うには姑息すぎとも思うけど(笑)


とりあえず、④までのツーメンゲームを繰り返し行えば、自然と⑤まで使えるようになるのでは・・・と期待している。


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