(12)プレスされたときのボール運び
1on1が弱いチームは、オールコートマンツーのように、プレッシャーを掛けられると、簡単にミスを犯し、それを何度も繰り返してしまう。
これが大敗する主な原因の一つと思う。
というか、大敗の原因はこれしかないかもしれない。
一番初めにこの文章を書き出した時に紹介した、うちのチームの大敗した試合。
これも、これが原因で、ターンオーバーは40を超えていた。
競った試合で負けるのは、ディフェンスのファクターも大きいが、大敗するのは、オフェンスに原因がある。
俺が今まで見てきた指導者は、こういう状況で、パスを繋げるという選択肢をとっていた。
しかし、これには落とし穴があって、そもそもプレッシャーに弱いということは、ボールキープ力が弱いということ。
そして、簡単にプレッシャーを掛けられるということは、ディフェンスに対して抜かれるリスクを感じさせていないということに他ならない。
結果、プレッシャーを掛けられてピボットもしっかり踏めず、無理な体勢で力のないパスを出し、それをスティールされるという最悪な結末が待っている。
このことからも、1on1のオフェンスをしっかり指導することが必要となるわけ。
また、そういうパスを主体としたボール運びの利点は、当然速く前にボールを運べることだが、それを指導する(目指している)指導者に限って、しっかりパスの基本を教えていない場合が少なくない。
どうしても、自分に置き換えて子供たちのプレーを見てしまうんやろね、そういう人は。
確かに、いろんなところにノーマークができていたり、裏を取れるスペースもよくあるけど、そこに正確にパスする技術やスペースを活かすことを教えていない子供に、単に「やれ!」と指導しても意味がないということには気付いていない。
逆に、子供がパスを意識しすぎて、横や後ろばかりを見ていると、「ボールを持ったら前を向け!」と怒鳴る。子供にしてみれば、「あんたがパスしろって言うたんやん!」と思ってるに違いない。
子供にドリブルで抜くことと、パスを出す事を同時に考えて、瞬時に選択させることは難しい。
ボールを持ったら、前を向いて自分で攻めるのか、パスする相手をまず探すのか、優先順位をしっかり決めて指導しなければならない。当然俺は前者で教える。
と、いうことで、少し長くなるが、プレスされたときのボール運びでやってはいけないことと、その対策を纏めてみる。
① スローインのとき
A.パサー
・ 特定のレシーバーを見続ける
・ 自分からラインに近づきディフェンスとの隙間をなくす
・ 片手パスができない
・ 左へのパスを右手でする(逆も同じ)
・ フェイクを使わない
・ 5秒の感覚を持っていない
・ パスしたあとボーっとレシーバーを見ている
【対策】
・ 最優先でパスしようと思っているレシーバーと一度アイコンタクトをとったら、攻めるゴール方向へ視線を向け、視野のなかでレシーバーの動きを追う。これが、目線のフェイントとなる。
もちろん、フロントコートに自分が正確なパスができる場所に、ノーマークがいるなら、そこへ出す。
・ コートサイドなどが会場の都合で狭いときなどは、ディフェンスが近すぎてパスがしづらいなら審判にアピールする。ルールの熟知が必要。
・ ボールはオーバーヘッドパスをするように頭の上に持ち(フェイント)、レシーバーの動きに合わせて左右や下に振って、レシーバーがマークとギャップを作った時にリードパスをする
・ 5秒間近になった場合は、コート上で一番フリーのレシーバーか、レシーバーが有利に走りこめる広いスペースにパスを出してしまう。持ったままでは、確実に相手ボールになる。
・ パスをしたら、すぐにフロントカットでノーマークになろうとするか、レシーバーが前でドリブルを始めていたら、止められた時のヘルプ、セーフティを考えておく(フォロー)。その場合、ボールマンの後ろから受け取るように動くとパスは出しやすい
B.レシーバー
・ パサーから視線を切る
・ 人数が多すぎる
・ じっとパスがくるのをその場で待つ
・ パスが届かない距離にいる、行ってしまう
・ ターゲットハンド、キャッチボイスがない
・ 5秒の感覚を持っていない
【対策】
・ いつでもパスを出されても反応できるように、常にボールを見る(視界の中においておく)
・ ボール運びは基本、2人で行い、もう1人はサブとして、上にも下にも動けるようにしておく
残りの2人は、一度攻める側のコーナーへ向かい、ミドルレーンを空けておくが、ボール運びの状況によってバックコートへフラッシュなども行う準備をしておく。またボールから視線を切らないようにする。
ゲーム前に誰がボール運びをするか決めておいたほうが良い
・ フロントカットを基本にディフェンスの前を通りパサーを通り過ぎるときにキャッチボイスとターゲットハンドを出す
・ ディナイされてフロントカットできないときは、サブにスクリーンを掛けてもらうとか、サブのためにスペースを空ける。
または、バンプした瞬間にロールしてかわす。かわした後はボールから離れるのではなく、フロントカットしようとしたコースへ戻る
② ボールを持ったとき
・ 完全に止まってから次のプレーを考える
・ リターンパスを意識しすぎる
・ ドリブルかパス、どちらかしか考えていない
【対策】
・ パスを受けるときに自分をマークしているディフェンスがどのくらいの位置にいるかを確認して、その位置によって次のプレーをイメージしておく
・ パスが悪く、受ける体勢が崩れた場合でも、もらい足でしっかり攻める側へ身体を向けて、ディフェンスに抜く姿勢を見せる
・ パスを受けたら、走りこんだスピードを殺さずドリブルでマークを振り切ってしまう、または、抜くフェイクをいれてディフェンスをずらす
・ ドリブルしている時にも常にノーマークの味方を探し、パスする準備をしておく
・ パサーがパスアンドランで自分より前にノーマークを作ってくれればパスをして、フォローにまわる
③ ドリブルを止めるとき
・ ディフェンスに前を塞がれて、とりあえず止まる(ドリブルをやめる)
・ 止まってから次のプレーを考える
【対策】
・ ディフェンスにコースを塞がれる前にチェンジオブディレクションしてしまう。
そのためには、ミドルレーンへ進むほうが、スペースを有効に使える。
出来なければ、バックステップなどで、ディフェンスとの距離をとってドリブルを続ける
・ ドリブルしながら次のプレーの準備をして、そのプレーの直前にドリブルを終了する
④ パスをするとき
・ 特定の味方だけを見続け、マークしているディフェンスを見ていない
・ 人にパスを出してしまう(リードパスができない)
・ パスが遅い、もしくは意図していないロブパスをする
・ 自分の技術や筋力で届かない、もしくはコントロールできない場所へパスをする
・ ドリブルが残っているにも関わらず自分が攻めようとしない
・ ゴールを意識していない
【対策】
・ ゴール方向を視野の中心近くに置き、味方や相手の位置を見るくせをつける
・ 空いているスペースがあれば、そこへ動くようレシーバーに指示をしてリードパスをする(止まっているレシーバーにはパスしない)
・ ノーバウンドで速いパスが出来ないなら、速いバウンズパスを選択する。
・ ロブパスを禁止する(ロブパスに特化した練習で、できるようになれば解除)
・ ロングパスは、レシーバーとゴールの間に落ちるように出し、そこに届かない選手には禁止する
・ センターサークル付近へのパスを禁止する
・ 抜こうとするフェイクを入れてディフェンスをずらしてからパスをする
・ 常に自分の攻め気を継続する
・ その他スローインのときのパサーと同様
これらは、当たり前のようようやけど、何度指導しても出来ない子が多い。状況を分解・細分化して、一つひとつ指導し、少しずつその項目をつなげていく教え方が有効と考える。
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